Copernicus Science Centre
先日の休日はポーランドで一番長いWisła川のすぐそばにある、コペルニクス科学センター(Centrum Nauki Kopernik)へ。とても大きな総合科学博物館らしく、欧州でも最新かつ最大なのだとか。
それまで地球を中心とした天動説に代わって、太陽を中心とした地動説を唱え、現代天文学の礎を切り開いたコペルニクス(Nicolaus Copernicus; 1473-1543)の名を冠したこの博物館は、彼の偉業に相応しく大きなプラネタリウムもあるそうなので、期待に胸を膨らませて入場した。(地動説開拓の熱量を違う形で知りたい人向けに「チ。–地球の運動について–(魚豊/小学館)」もここにおすすめしたい。)入場料はプラネタリウムの鑑賞料を含めて67zł(約3000円)とかなりリーズナブルだった。
博物館内の展示はほとんど体験型で、正確な数字はわからないが、大小含めておよそ400程度になるそう。入場ゲートを通過すると、地球の自転現象を知るための大きな「フーコーの振り子」がお出迎えしてくれた。ロボティクス分野の展示もされており、ヒューマノイドの"Ameca"が入場客と普通に会話していて驚いた。個人的にあの機械的かつ無感情な「目」は苦手だ。ロボットAIの「無感情な」心理を描いたSF映画「エクス・マキナ(2014)」を観たからなのかもしれないが。。。でも面白い映画なのでおすすめしたい。どこかの動画で見た絶対に倒れない四足歩行型ロボットも生き生きと動いていた。
名前に釣られて、全体的に宇宙関連の展示が多いのかと勝手に想像していたが、科学というより物理の基礎的な世界を実際に体験できる場所だった。様々な鏡を用いた光の反射・屈折や光の三原則、フォトポリクロミー、ストロボ効果、物体の位置エネルギーの違いを示すスライダー、振り子振動、砂鉄のダンス、氷の結晶化過程など、全てを挙げることはできないが、教科書で習うようなほぼ全ての物理現象や応用技術などを実体験することができた。家族連れが客層として多いわけだが、外国人のおっさんが一人で楽しんでいたのはさぞ滑稽だったろうと自分でも思う。ほぼ一日を使わないと全部回れないのではないかと思うくらい充実した展示物の数だった。
一通り展示物を見終えて、プラネタリウムの予約時間が迫っていたので、別館へ移動。プラネタリウムを鑑賞するのは何年ぶりだろうか。今回鑑賞したのは"ZIEMIA"(ポーランド語で「地球」)というタイトルのもので、星座から地球誕生に関する内容だったが、ガイドはもちろんポーランド語なのでほとんどの内容は理解できなかったものの、映像はとても綺麗だった。少し首が痛かったが。隣の観光客(おそらくアメリカ人)は自動翻訳ヘッドフォンを装着していて感心した。買おうとは思わないけども。知的探究心を擽る良い博物館だった。
話は少し脱線するが、有機化学の実験を行う際によく使う脱脂綿。カラムクロマトグラフィの組み立て時や、簡易濾過の際(ひだ付き濾紙を使う人もいるかと思うが、著者は折り紙が苦手で、こっちの方が手軽なので脱脂綿派)によく使う脱脂綿。実験室の缶に注目するとそこには"WATA"の二文字が。まさか、ここで日本語(といってもローマ表記だが)を見ることになるとは!と驚嘆して同僚のMarcinに「これって誰かがわざわざ日本語で書いたの?」と聞くと、「ごめん。言ってる意味がわからない?」と返された。なんでだ。よくよく聞いてみると、この"WATA"は「ヴァタ」と発音するらしく、意味はもちろん「脱脂綿」を指すのだそう。こんな偶然があるのか。「日本語でも綿(Wata)って書くんだよ」と伝えて二人で笑った。言語の違いは多分にあれど、こういった偶然の面白さがあるのは海外に来て貴重な経験となった。